眼精疲労

眼精疲労とは

眼精疲労とは、目を使う仕事を続けることにより、眼痛、眼のかすみ、まぶしさ、充血などの目の症状や頭痛、肩こり、吐き気などの目の症状が出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しきれない状態を言います。
近年では、パソコンや携帯を見る機会が増え、近距離にピントを合わせることで目の筋肉を酷使してしまう方が増えています、それにより、眼精疲労に悩む方も増加傾向にあります。


眼精疲労の原因

原因は多岐にわたります。眼鏡やコンタクトレンズの度数が合わない矯正不良、ドライアイ、緑内障、白内障、斜視、眼瞼下垂などの様々な目の病気により眼精疲労を生じることもあります。目の使い過ぎや生活環境による原因もあります。

目の疾患

眼精疲労を起こしやすい目の疾患は、下記の通りです。

ドライアイ

ドライアイは、目を守るために欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れる事によって涙が均等に行き渡らなくなる疾患であり、目の表面に傷を伴うことがあります。これらのトラブルによって、眼精疲労を引き起こすこともあります。実際に、眼精疲労の患者様の60%が、ドライアイの症状もあったというデータも報告されています。

ドライアイ

屈折異常など

近視や乱視、遠視、老視などがあります。これらによって目に負担がかかり、眼精疲労を起こすことがあります。また、斜視(左右の黒目がそれぞれ別の方向を向いてしまう状態)が原因になるケースもあります。

老眼(老視)

水晶体は、ある程度の弾力性がある組織です。毛様体の筋肉繊維の力によって厚みを変え、ピントを調整しています。しかし、歳をとると水晶体は固くなり、ピントが合わせられなくなり、近くの物が見えにくくなり、眼精疲労が起こります。
また、眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていないことが原因で、眼精疲労になるケースもあります。

白内障

網膜にピントを結ぶ働きを担っている水晶体が、加齢などで白く濁る疾患です。水晶体が白く濁るため、見えづらさや眩しさを感じる事があります。これが眼精疲労の原因になることもあります。
また、白内障の治療として、水晶体を摘出して人工レンズを入れる手術があります。この手術で見え方が変わると、目が慣れるまで眼精疲労になることもあります。

白内障

緑内障

眼圧が正常値よりも高くなって視神経や網膜が傷つき、見える範囲が狭くなる疾患です。放っておくと最悪の場合、失明に至ります。
視野の欠けている部分を無理に見ようとしたり、副次的な頭痛が起こったりすると、眼精疲労に陥りやすくなります。

緑内障

眼瞼下垂

眼瞼挙筋(がんけんきょきん)はまぶたを開けるために必要な筋肉です。この末端にある腱膜は、加齢に伴うものやコンタクトレンズの長期使用(特にハードコンタクトレンズ)で、緩みやすくなります。その結果、瞼が垂れ下がってしまう眼瞼下垂が引き起こされます。
見える範囲が狭くなるので、無意識に瞼を上げようと目に力が入ったり、上を向いたりする動きが増え、これが眼精疲労の原因になることもあります。

身体の疾患

風邪やインフルエンザ、虫歯などの急性疾患や、高血圧や糖尿病、副鼻腔炎、歯周病などの慢性疾患、更年期障害などが原因で、頭痛や目の奥が痛むことがあります。この場合は、眼精疲労である可能性が考えられます。

眼鏡やコンタクトレンズ

近視や乱視、老眼でも見え方に変化があります。その際に合わない度数の眼鏡やコンタクトレンズを使い続けると眼精疲労が起こりやすくなります。
また、左右の視力に大きな差があると、眼鏡で矯正しても、左右の像の大きさが異なります。これも眼精疲労の原因になります。

眼鏡・コンタクトレンズ

生活環境

近年では、仕事などでパソコンやスマートフォンを長時間見るのが当たり前になっています。また、趣味などでスマートフォンを長時間操作し続けた結果、VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群に悩む方が増えています。
さらに、エアコンの風が目に当たると、目が乾燥してドライアイになることもあります。こういった現代の生活環境で目の疲れを防ぐには、休憩をしっかり取ることも大切です。

VDT症候群(IT眼症)

精神的ストレス

現代は人間関係などが難しくなって、ストレスが溜まりやすい時代です。ストレスが多すぎると、心が辛くなって筋肉が固くなったり、血液の流れが悪くなったりします。 これらのことで、眼精疲労になることもあります。


眼精疲労の対処法

眼精疲労を防ぐには、睡眠の質の改善、バランスの良い食事を心がけ、規則正しい生活をすることが大切です。
生活環境を整えると、眼精疲労になるリスクを減らすことができます。
しかし、症状で辛い時や心身の負担が大きくなっている場合は、ご相談ください。
眼精疲労かどうかにつきましては、次の2つのポイントでチェックしてください。そして、適切な対策をして、目が楽になるようにしましょう。

疾患がないかチェックしましょう

眼精疲労は、重篤な目および身体の疾患のサインとして起こっている可能性もあります。症状を感じた際は、症状を我慢せずに受診して頂くことをお勧めします。眼科で目の検査などを行うと、眼精疲労の原因となる疾患が発見できる場合もあります。
目の疾患を治したり、適切な眼鏡やコンタクトレンズを使ったりすると、眼精疲労が改善されることもあります。目以外の疾患が見つかった際は、適切な治療を受けられるよう、他院へご紹介します。

リラックスさせる時間を作る

ストレスは現代人の大敵です。しかし、生活の工夫や習慣の改善を心がける事で、ストレスの影響を減らすことは可能です。
ご自身のライフスタイルに合った気分転換の方法を見つけ出すことも大切です。
それでもストレスが重くなる時は、専門家に相談して治療やアドバイスを受けることも大切です。ストレスが軽くなると、目の症状も自然と楽になります。


眼精疲労頭痛になる…?

眼精疲労やドライアイをきっかけに、頭痛に悩むケースもあります。目の異常が肩こりや疲労の原因となり、心身のストレスから片頭痛や緊張型頭痛が起こるのではないかと言われています。 眼精疲労やドライアイで一番多い原因は、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスの長時間使用です。 これらのデジタルデバイスによって目の疲れや痛み、肩こり、頭痛、精神など全身に及ぶ不調が起こる疾患を、「VDT(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)症候群」と呼びます。また、VDT症候群は「IT眼症(がんしょう)」とも言われています。 デジタルデバイスを使う時は、1時間作業したら10〜15分程度の休憩をとる、目とディスプレイの間の距離を40 cm以上とる、などの工夫を心がけましょう。